先月3月は国際女性月間。そこでFacebookのさまざまな部署で活躍している女性たちにお話を聞いてみました。その第4弾はフェイスブック ジャパンの広報統括を務めるYukikoさん(下村祐貴子)です。家庭で2人の男の子を育てつつ、執行役員という要職も兼務しながら、社内だけでなく社外の人々と協働し、さらに社会を活性化していく働き方について、いろいろと伺いました。 一問一答形式でお送りします。
ご自身がFacebookで歩んできたキャリアについて簡単に教えてください。
2016年12月にFacebook Japanの広報部長に就任し、2018年より執行役員も務めています。ミッションである「コミュニティづくりを応援し、人と人とが身近になる世界を実現する」に基づいたPR戦略やコーポレートコミュニケーションなどを統括しています。開放的でオープンな社風のもと、自社サービスを駆使して家事や育児の調整を効率的に行い、ワークライフバランスを重視した働き方を取り入れています。
これまでFacebookで働いてきて特に印象に残っている瞬間は何ですか。
地方創生プロジェクトを展開したことかと思います。私は神戸出身なのですが、人口が減少傾向にあります。神戸に限らず地方都市は人口減少に直面し、地方経済の活性化が日本全体として求められているように感じます。私が人生の大半を過ごした神戸の活性化のために、テクノロジーやコミュニティの力で貢献していくという活動が社内で広がり、40人ものメンバーが所属部署を超えて協働し、神戸市役所を代表とする自治体との連携を通じたプロジェクトになったことはとても印象に残っています。「市政情報発信支援」「地域経済活性化促進」「コミュニティ活性化促進」の3つを柱にしたプロジェクトで、他の自治体も高い関心を示してくださっています。これも、自分が大切だと思うこと、したいと思うことや好きなことを強みとして尊重してくれる Facebookの強みかなと思います。
テクノロジー業界で女性がリーダーになることについて、そしてFacebookや一般のテクノロジー業界におけるダイバーシティー(多様性)の重要性について教えてください。
前提にあるのが、Facebookのミッションである「コミュニティづくりを応援し、人と人とが身近になる世界を実現する」です。世界中で23億人(2018/12現在)の多種多様な利用者を理解し、ミッションを達成するための製品・機能づくりのために、性別、国籍、宗教、年齢などを問わず多様な人材を採用し、ビジネス上の決定から昇進に至るまでさまざまな意見を取り入れることがより良い決断をすることにつながると信じています。そのためFacebookはDiversity & Inclusion(D&I:多様性と多様性の受け入れ)を重要視しています。D&Iがイノベーションにつながった一例として、インドやバングラデシュで展開している「プロフィール写真を保護する」機能があります。この数年、インターネット上の女性の写真が不正使用されるという案件が問題となっていたときにインド人女性のエンジニアが声を上げ、プロフィール写真のダウンロードやスクリーンショットをできないようにするという機能を開発・発表しました。まさに多様性が尊重されてビジネスに活きた例と言えるでしょう。
また、「テクノロジー業界で女性がリーダーになることについて」ですが、日本では、労働人口の減少が数年前からすでに始まっており、女性の活躍する機会を増やすことは持続可能な発展にとても重要だなと感じております。また、サービス業や消費財業界に比べて、テクノロジー業界で働いたり、業界を志望したりする女性が少ないという背景もあります。そのため、テクノロジーを活用して長く働きやすい環境づくりに注力することはとても大事なことであり、私自身もテクノロジーを活用して、仕事をしながら2人の男の子を育て、そのかたわらで趣味のウェイトトレーニングも楽しんでいます。弊社のWorkplace(ビジネス用Facebook)を活用して情報を効果的に取得・活用することはもちろん、音声入力でメールのやりとりやFB投稿などを行ったり、また、Instagramを通じてウェイトトレーニングの様子を投稿したり、筋トレコミュニティと交流したりしています。
ご自身がこれまで取り組んできた中で最も価値のあるものを、ひとつ挙げていただけますか。
フェイスブック ジャパンとして日本社会の何に貢献すべきかという方針をチームで策定したことは有意義であったと思います。それによって、よりインパクトのある活動に注力できるようになり、進む方向性も決まったことが大きな成果だったと思います。その中では、日本の社会課題となっている男女格差の是正に貢献する活動をFacebookとして力を入れていくことも重要な柱のひとつとなっていて、それが「#起業女子」プログラムの推進などにつながりました。
過去5年間で、ご自身の人生に役立った新しい信念や行動、習慣にはどんなものがありますか。
自分の中で2つのことを大切にしています。まず、「直感を大事にすること」です。そのうえで家族や友人に話して意見が合えば前に進むようにしています。2つめは「一番リスクが高いことは、リスクを取らないことだ」という言葉です。私は今年39歳で、守りに入ってくる年齢でもありますが、「いろんなことにチャレンジしたい、何ができるのか自分で試したい」と思っています。
Facebookのコアバリューのひとつに「優先順位づけ」(Ruthless Prioritization)がありますが、それを実践する上で「これはよくない」といえるものにはどんなものがありますか。どんな意識や姿勢が役立ちますか。
これは良くないというものは別段ないのですが、優先順位づけをする際、気をつけていることが2つあります。ひとつは、チーム内で優先プロジェクトのレビューを毎週行って、今週・来週・この先1カ月の優先順位を伝えるようにしていることです。もうひとつは、社外からの要望、協業への提案などを広く聞いて、現在あるプロジェクトがさらに良いものにならないかを常に考えることです。そういう意識を持つことで、数多くのプロジェクトを単に進めるのではなく、いくつかのプロジェクトの連携が生まれ、最大の効果を発揮させられるのではないかと感じています。